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日本酒の飲み頃温度について



 日本酒はワインやビール等の他のアルコール飲料に比べて、
 非常に幅広い温度帯で楽むことが出来る酒類です。
 そして、日本酒には同じ一本の日本酒が、楽しむ温度によっては
 全く違う印象の味わいになったりする面白さがあります。
 そこで、自分のその時の気分によって、温度を変えて飲み、
 その一本の日本酒を隅から隅まで知ってみませんか?
 もしかしたら、その日本酒の隠されたおいしさに出会える
 かもしれません。是非、融通のきくご自宅で、自分流に
 日本酒を楽しんで頂ければと思います。

 人の舌の感覚は千差万別です。もちろん、味わいの好みも
 人それぞれです。ですから、以下に書くことには「絶対」
 ということではありません。あくまでも個人的感覚に
 「きき酒師」の資格試験の講習の際の「日本酒サービス研究会」
 から提案されている感覚を参考程度に加えたコメントです。
 また、日本酒のタイプもさまざまで全く同じ味の酒というものは
 この世に一つとしてないのですが、ここでは大まかに酒を分類し、
 お話させて頂きます。
 ご参考程度に、ご自分の「日本酒の新たな発見」の為に
 お役立て下さいませ。。


▼ 日本酒を冷で飲む

 温かい料理にキュっと「冷」の酒。暑い一日の終わりに、
 これまたキュッと「冷」の酒。うまい蕎麦に「冷」の酒。
 日本酒の「冷」という響きは、どこか「通心」をくすぐる
 魔法の言葉のように感じます。

 
 近年、「良い酒=冷で」という図式が広まったせいでしょうか?
 おそらく多くの方が、基本的には日本酒を冷で楽しまれている
 ことと思います。しかし、選んだ酒によっては「冷す」ことが
 マイナスになる場合があったり、また同じ「冷」の状態でも、
 若干の温度の違いで味わいの印象が変わるのが日本酒の
 不思議さと楽しさなのです。「良い酒=冷で」という決め付けは
 「間違い」
ということを前提に「冷」についてお話しましょう。


 さて、皆様の日本酒の「冷」の温度の感覚はどのくらいでしょうか?
 多分、ビールをお飲みになるくらいの温度か、それより低めの
 冷蔵庫の庫内温度(5℃)くらいでしょうか?
 「冷」の温度帯というのは一般的に5〜10℃となります。
 (※氷温に近いものも入ります)

 ・5℃(雪冷え)で楽しむ

 吟醸酒など、華やかな香りが高く、フルーティーなタイプの酒は、
 非常にキリッとドライに感じ、口の中で酒が温まる時は口中で
 味わいが解け出すような心地よさを楽しむ事ができます。
 この低い温度では、雑味の多い酒などの欠点が、すっきりとして
 冷たい感覚の中で薄れるように感じます。
 しかしその分、酒のタイプによっては酒の香りや味わいが閉じ、
 面白みのない味わいや固い味わい感じることがあります。
 温度の低さから甘味や旨みが少なく感じるようです。

 ・10℃(花冷え)で楽しむ

 吟醸酒などの華やかでフルーティーなタイプの酒の多くは、
 この温度帯が香りを楽しむ上では、香りが一番甘く華やかに
 感じます。生酒等に多い爽やかでみずみずしくまろやかな
 タイプの酒はこの温度くらいが香りも新鮮で味わいもシャープ
 になると思います。純米酒などに多いふくよかな香りと
 コクのある味わいのあるものは、この温度帯ではすっきりとして、
 サラリとした印象の味わいが楽しめるようです。



▼ 日本酒を常温で飲む

 「常温」と聞くと、何だか「ほったらかした温度」のように感じる方も
 多いようですが実は「常温」で飲むのは案外難しいもの。
 この場合の「常温」とは15〜20℃くらいとしておきましょう。
 温度計を片手に飲むわけにもいきませんから、大体の目安として、
 舌の感覚的に「冷たくないけどぬるくない」と感じるくらいです。
 冬場は室温で良いですが(開栓前)、夏場は少し冷さないと
 この温度にはなりませんから、本当は一番難しい温度帯です。
 常温で飲むからといって、開栓後の瓶を室内に置きっぱなしに
 しておくのは×です。開栓したら、必ず冷蔵庫で保存した方が
 後々よろしいかと思います。
 (保存方法は保存についてのページをご参照下さい)
 また、常温で酒を飲むと、雑味などが多い酒は「化けの皮を
 はがされます」ことになりますので、試してみて下さい。

 ・15℃〜20℃(涼冷え)で楽しむ
     
 清楚な香りと軽やかな味わいを持った本醸造酒や純米酒は、
 甘味・酸味・苦味のバランスが調和するように感じます。
 古酒などの練れたタイプの酒は低い温度では感じなかった
 とろみ、まろやかさを感じるようになります。(高めの常温)




 
▼ 日本酒をぬる燗で飲む

 「え?!お燗しちゃうの?」と目を丸くさせ、日本酒をお燗することに
 嫌悪感を表す方が割と多くいらっしゃるのですが、
 「お燗=酒が駄目になる」とか「お燗=どの酒を飲んでも同じ」
 という頑ななイメージが多くの方にあるようです。
 正直言いまして、私は「大吟醸酒」でも「お燗したければしましょう」
 という風に思っています。
 (蔵元さんの悲鳴が聞こえそうですが・・・^^ゞ) 
 基本的に生酒や古酒以外は「お燗しても良い」派です。
 (むろん熱燗は×ですし、お燗が向いていない味の日本酒もございます)
 日本酒をお燗すると、冷や常温の時には現れなかった味わいが
 出てきますし、それがご自分の好みの味だったら嬉しいですよね。
 ぬる燗の感覚は30〜40℃
です。この10℃の温度帯の中でも
 味わいはさまざまに変化しますから、是非、5℃ずつくらいで
 飲む温度を変えて、ぬる燗を隅から隅までご堪能下さいませ。
 ぬる燗は「自宅で飲む酒にルールはいらない」の典型楽しみ方
 といえそうですね。





▼ 日本酒を熱燗で飲む

 基本的にどんな酒でも55℃以上にお燗することは
 おすすめいたしません。50〜55℃が熱燗の最高温度だと
 思って頂ければと思います。それ以上になるとその温度で
 あるが故の良さは、味わいの上ではほとんどありません。
 (しいていえば、熱々のもので体が温まる?ってことが
 利点かもしれません)
 基本的に地酒の多くは45〜50℃くらいまでの
 「上燗(じょうかん)」と呼ばれる温度帯までがおすすめです。
 もしどうしても55℃の熱々のお酒が飲みたいなら、
 お燗をするお酒は普通酒にするのが一番です。
 普通酒は実はとても熱燗に向いているもの。
 (普通酒とはナショナル・ブランドの上撰や佳撰と表記される
 タイプのお酒です)
 もし、貴方の家に来たお客様が「熱々のお燗が飲みたいな」と
 リクエストしたら是非普通酒を用意しましょう。
 「ど〜せ、熱燗だから」という意味ではなく
 「熱々の燗なら普通酒が一番向いているから」です。





▼ 飲み頃温度を逆手に取る

 日本酒好きの方なら、日本酒を頂いたりする機会も
 多いかと思います。また、チャレンジ精神の旺盛な地酒ファンなら、
 同じ銘柄は2度と飲まず、毎回新しい味わいに挑戦していく方も
 とても多くいらっしゃることと思います。
 しかしながら、そんな時にたまに出会ってしまう
 「あーーー好みじゃない!」という感覚・・・
 そんな時、貴方はどうされますか?

 結婚されている男性なら、奥様に「これ、料理に使って・・・」と
 手渡したり、もっと荒っぽい方法だと捨てたりする方はいませんか?

 ・・・ちょっと待っって下さい!

 捨てたりしてしまう前に今までお話してきた
 日本酒を楽しむ温度について考えてみて頂ければと思います。
 もしその酒があなたには「まろやかすぎて甘いな・・・」と
 思ったら、キンキンに冷してみるとドライな味わいときりっとした
 味わいに変化して、案外美味しく楽しめるかもしれません。
 「フルーティーな感じの大吟醸よりコクのある純米の方が好き」
 と思ったら、思い切って大吟醸を45℃くらいに
 お燗してみては如何でしょうか?
 香りはフルーティーな感じからふくよかな香りに変化し、
 旨みとコクの強い酒に変わるかもしれません。
 また、体調によってはいつもと同じ味わいの酒が「?」に
 感じたりする時もあります。そんな時も是非温度帯を変えて
 楽しんでみてはいかがでしょうか?
 いずれにしても臨機応変に日本酒を楽しんでみて下さい。
 自宅で飲むからこその自由な発想で、日本酒との良い関係を
 築いて見て下さい。



 日本酒の飲み頃温度についてのお話は以上です。
 実際は同じ大吟醸でも原酒だったり、生酒だったり、
 火入れしていたり、さまざまですし、純米酒でもすっきりとした
 淡麗なものから濃厚なもの、また吟造りをした
 フルーティーなもの等などなかなか一まとめにお話をするのは難しく、
 悩みながらのお話となりました(^^ゞ
 そして、日本酒サービス研究会の提案する
 「薫酒・爽酒・醇酒・熟酒の4つの分類」にすべての酒を
 当てはめるのはなかなか簡単には行かないように思います。
 それだけ、個性豊かな酒があるということは、
 すばらしいことだと感じています。

 せっかくの個性豊かな日本酒ですから、楽しむ温度帯の幅を広げて、
 貴方の中の「おいしい!」を探してみて下さいませ。




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