日本酒をおいしく飲む為に

主にご家庭での日本酒の保存方法をご説明しています。

開栓前のご家庭での保存の仕方

生酒は開封前でも必ず冷蔵庫で保存をしましょう。
もし、一升瓶が冷蔵庫に入らないというのであれば、入るサイズの乾いた清潔な瓶を用意し、酒を移し替えて(その際には口一杯まで入れてしっかりと蓋を閉めてください)から冷蔵庫に保管するなどの工夫をして頂ければと思います。
火入れをした酒でも、高温、直射日光、などの状況下に置きますと品質が劣化してしまいますので、光のあまり当たらない冷暗所に保管なさって下さい。

開栓してからの保存の仕方

開栓後は、どんなタイプの日本酒でも冷蔵庫に入れて保存して下さい。
また、開栓後の日本酒は瓶の中で空気と触れ合うことによって風味が落ちます。
もし一升瓶のお酒が「なかなか空かない・・・」という方は、前項で触れたように何本かの乾いた清潔な小さな瓶に移し替えて冷蔵庫で保存しておけば、品質劣化は抑える事ができますので、ぜひこの方法をお試し頂ければと思います。

日本酒の分類について

日本酒は原料や製造方法によって、さまざまなタイプに分類されます。
もちろん、味わいを考えると同じ分類の中でもさまざまで、一概に一くくりには出来ないものですが、参考までにご覧下さいませ。

精米歩合・アルコール・糖類の添加から見た日本酒の分類

1:本醸造酒
精米歩合70%以下の白米を使用。
原材料は米・米麹(水は基本的原料なので、原材料表示には省略されます)・白米の重量の10%を超えない醸造用アルコールを添加をしたもの。
2:純米酒
精米歩合70%以下の白米を使用。原材料は米・米麹。
3:吟醸酒
精米歩合60%以下の白米を使用。原材料は米・米麹・白米の重量の10%を超えない醸造用アルコールを添加をしたもの。
4:純米吟醸酒
精米歩合60%以下の白米を使用。原材料は米・米麹
5:大吟醸酒
精米歩合50%以下の白米を使用。原材料は米・米麹・白米の重量の10%を超えない醸造用アルコールの添加をしたもの。
6:純米大吟醸
精米歩合50%以下の白米を使用。原材料は米・米麹
7:普通酒
精米歩合は70%以上で本醸造酒の規定以上のアルコール添加をしたもの、または醸造用糖類・有機酸などを添加する三倍増醸酒とブレンドしたもの。

製法から見た日本酒の分類

1:原酒
一般の酒が加水をし、アルコール度数を15~17%に調整するのに対し、加水調整をせずに、搾ったままのアルコール度数のままで製品化したものは原酒と呼ばれます。仕込みの段階で醸造用アルコールの添加のある本醸造タイプのものと添加のない純米酒タイプのものがあり、純米酒タイプのものは蔵によって発酵の段階でアルコール度数が16度程度までしか上がらないことも有り得ますので、度数だけでは判断できない部分があります。

一般に日本酒は酒を搾ったあと加熱殺菌してタンクで貯蔵し、瓶詰めの際に再び加熱殺菌されます。
このことをふまえ、生酒、生貯蔵、生詰め酒の項目をご覧下さいませ。

2:生酒
二度の加熱処理を一切しないもの。
3:生貯蔵酒
加熱処理をせずにタンクに貯蔵し、瓶詰めの際に一度加熱殺菌したもの。
4:生詰め酒(ひやおろし)
加熱処理をしてからタンクに貯蔵し、瓶詰めの際には加熱しないもので、一般に秋も深まった、気温の下がってきた頃に出回ります。
5:樽酒
タンクではなく木樽で貯蔵し、木の香りをつけ、樽のままあるいは瓶に詰め替えて出荷される酒。
6:にごり酒
もろみが混じり、白く濁った酒のこと。
7:活性清酒
にごり酒を火入れせずに、生のまま出荷した物で、発泡を感じる酒。新酒の時期特有の酒です。
瓶内で二次発酵させるタイプや炭酸ガスを注入するものもございます。
8:貴醸酒
純米酒の仕込み水の一部を清酒にした非常に濃厚な酒。

日本酒度・酸度について

目安に表示してある「日本酒度」や「酸度」って、何?
と思っていらっしゃる方は多いかと思いますので、簡単にご説明させて頂きます。

日本酒度と酸度はあくまでも味わいについての目安であり、実際に舌の上で感じる味わいとは印象が異なる事も多々ございます。
これは日本酒に含まれるさまざまな成分によるもので、数字だけでは、なかなか味については語れないものだということをあらかじめお知らせしておきます。^^

日本酒度について

日本酒度とは、日本酒の甘口・辛口を判断する尺度で、酒に浮かべて測る日本酒度計を使い摂氏4℃の水の重さ(比重)を±0とし、これより比重が大きい(重い)お酒にはマイナス、小さい(軽い)ものにはプラスがつけられます。
これにより、糖分が多いお酒(甘口)ほど重いためマイナスの数字が大きくなります。逆に糖分が少ない(辛口)ほど軽いためにプラスの数字が大きくなります。
目安としては、プラス2前後のお酒が中口のお酒だといわれます。

酸度について

酸度と付くからには、これは日本酒の製造過程で酵母や麹、米から発生した乳酸・コハク酸・クエン酸・リンゴ酸等の酸の量を表したものです。
しかしながら、酸が多い=そのまますっぱいということではありません。酸には味を引き締める働きがあり、酸が少ないと、酒の味にキレやハリ、コクが無くなり、ボヤけた味わいになってしまいがちです。
日本酒の甘い・辛いは日本酒度だけでは、なかなか判断がつかないもので、この酸度の数値もふまえて判断されます。日本酒度がマイナスの酒は、酸度が高い方が、味に旨みと爽快感が出ますし、日本酒度がプラスに切れる酒は、酸度が低いと淡麗辛口のすっきり感が出ると言われているようです。

日本酒の飲み頃温度について

日本酒はワインやビール等の他のアルコール飲料に比べて、非常に幅広い温度帯で楽むことが出来る酒類です。
そして、日本酒には同じ一本の日本酒が、楽しむ温度によっては全く違う印象の味わいになったりする面白さがあります。
そこで、自分のその時の気分によって、温度を変えて飲み、その一本の日本酒を隅から隅まで知ってみませんか?
もしかしたら、その日本酒の隠されたおいしさに出会えるかもしれません。是非、融通のきくご自宅で、自分流に日本酒を楽しんで頂ければと思います。

人の舌の感覚は千差万別です。もちろん、味わいの好みも人それぞれです。ですから、以下に書くことには「絶対」ということではありません。あくまでも個人的感覚に「きき酒師」の資格試験の講習の際の「日本酒サービス研究会」から提案されている感覚を参考程度に加えたコメントです。
また、日本酒のタイプもさまざまで全く同じ味の酒というものはこの世に一つとしてないのですが、ここでは大まかに酒を分類し、お話させて頂きます。
ご参考程度に、ご自分の「日本酒の新たな発見」の為にお役立て下さいませ。。

日本酒を冷で飲む

温かい料理にキュっと「冷」の酒。暑い一日の終わりに、 これまたキュッと「冷」の酒。うまい蕎麦に「冷」の酒。
日本酒の「冷」という響きは、どこか「通心」をくすぐる魔法の言葉のように感じます。

近年、「良い酒=冷で」という図式が広まったせいでしょうか?
おそらく多くの方が、基本的には日本酒を冷で楽しまれていることと思います。しかし、選んだ酒によっては「冷す」ことがマイナスになる場合があったり、また同じ「冷」の状態でも、若干の温度の違いで味わいの印象が変わるのが日本酒の不思議さと楽しさなのです。「良い酒=冷で」と決め付けてしまうのは「間違い」ということを前提に「冷」についてお話しましょう。

さて、皆様の日本酒の「冷」の温度の感覚はどのくらいでしょうか?
多分、ビールをお飲みになるくらいの温度か、それより低めの冷蔵庫の庫内温度(5℃)くらいでしょうか?
「冷」の温度帯というのは一般的に5~10℃となります。
(※氷温に近いものも入ります)

5℃(雪冷え)で楽しむ
吟醸酒など、華やかな香りが高く、フルーティーなタイプの酒は、非常にキリッとドライに感じ、口の中で酒が温まる時は口中で味わいが解け出すような心地よさを楽しむ事ができます。
この低い温度では、雑味の多い酒などの欠点が、すっきりとして冷たい感覚の中で薄れるように感じます。
しかしその分、酒のタイプによっては酒の香りや味わいが閉じ、面白みのない味わいや固い味わい感じることがあります。
温度の低さから甘味や旨みが少なく感じるようです。
10℃(花冷え)で楽しむ
吟醸酒などの華やかでフルーティーなタイプの酒の多くは、この温度帯が香りを楽しむ上では、香りが一番甘く華やかに感じます。
生酒等に多い爽やかでみずみずしくまろやかなタイプの酒はこの温度くらいが香りも新鮮で味わいもシャープになると思います。
純米酒などに多いふくよかな香りとコクのある味わいのあるものは、この温度帯ではすっきりとして、サラリとした印象の味わいが楽しめるようです。

日本酒を常温で飲む

「常温」と聞くと、何だか「ほったらかした温度」のように感じる方も多いようですが実は「常温」で飲むのは案外難しいもの。
この場合の「常温」とは15~20℃くらいとしておきましょう。
温度計を片手に飲むわけにもいきませんから、大体の目安として、舌の感覚的に「冷たくないけどぬるくない」と感じるくらいです。
冬場は室温で良いですが(開栓前)、夏場は少し冷さないとこの温度にはなりませんから、本当は一番難しい温度帯です。
常温で飲むからといって、開栓後の瓶を室内に置きっぱなしにしておくのは×です。開栓したら、必ず冷蔵庫で保存した方が後々よろしいかと思います。
(保存方法は保存についてのページをご参照下さい)
また、常温で酒を飲むと、雑味などが多い酒はより雑味を感じることになりますので、機会がありましたら試してみて下さい。

15℃~20℃(涼冷え)で楽しむ
清楚な香りと軽やかな味わいを持った本醸造酒や純米酒は、甘味・酸味・苦味のバランスが調和するように感じます。
古酒などの練れたタイプの酒は低い温度では感じなかったとろみ、まろやかさを感じるようになります。(高めの常温)

日本酒をぬる燗で飲む

「え?!お燗しちゃうの?」と目を丸くさせ、日本酒をお燗することに嫌悪感を表す方も少なからずいらっしゃるのですが、「お燗=酒が駄目になる」とか「お燗=どの酒を飲んでも同じ」という頑ななイメージがあるようです。
正直言いまして、私は「大吟醸酒」でも「お燗したければしましょう」という風に思っています。(蔵元さんの悲鳴が聞こえそうですが・・・) 
(※むろん熱燗は×ですし、お燗が向いていない味の日本酒もございます)
日本酒をお燗すると、冷や常温の時には現れなかった味わいが出てきますし、それがご自分の好みの味だったら嬉しいですよね。
ぬる燗の感覚は30~40℃です。この10℃の温度帯の中でも味わいはさまざまに変化しますから、是非、5℃ずつくらいで飲む温度を変えて、ぬる燗を隅から隅までご堪能下さいませ。
ぬる燗は「自宅で飲む酒にルールはいらない」の典型楽しみ方といえそうですね。

日本酒を熱燗で飲む

基本的にどんな酒でも55℃以上にお燗することはおすすめいたしません。50~55℃が熱燗の最高温度だと思って頂ければと思います。それ以上になるとその温度であるが故の良さは、味わいの上ではほとんどないように思います。
(しいていえば、熱々のもので体が温まるということでしょうか)
基本的に地酒の多くは45~50℃くらいまでの「上燗(じょうかん)」と呼ばれる温度帯までがおすすめです。
それでも熱々の燗酒を飲んで温まりたい時には手頃な価格の普通酒を選ばれると良いかもしれません。

飲み頃温度を逆手に取る

日本酒好きの方なら、日本酒を頂いたりする機会も多いかと思います。また、チャレンジ精神旺盛な地酒ファンの方なら、同じ銘柄は2度と飲まず、毎回新しい味わいに挑戦していく方もとても多くいらっしゃることと思います。
しかしながら、そんな時にたまに出会ってしまう
「あーー好みじゃない!」という感覚・・・
そんな時、貴方はどうされますでしょうか?

ご結婚されている男性なら、奥様に「これ、料理に使って・・・」と手渡したり、もっと荒っぽい方法だと捨てたりする方はいませんか?

・・・ちょっとお待ち下さい!

捨てたりしてしまう前に今までお話してきた日本酒を楽しむ温度について考えてみて頂ければと思います。
もしその酒があなたには「まろやかすぎて甘いな・・・」と思ったら、キンキンに冷してみるとドライな味わいときりっとした味わいに変化して、案外美味しく楽しめるかもしれません。
「フルーティーな感じの大吟醸よりコクのある純米の方が好き」
と思ったら、思い切って大吟醸を45℃くらいにお燗してみては如何でしょうか?
香りはフルーティーな感じからふくよかな香りに変化し、旨みとコクの強い酒に変わるかもしれません。
また、体調によってはいつもと同じ味わいの酒が「?」に感じたりする時もあります。そんな時も是非温度帯を変えて楽しんでみてはいかがでしょうか?
いずれにしても臨機応変に日本酒を楽しんでみて下さい。
自宅で飲むからこその自由な発想で、日本酒との良い関係を築いて見て下さい。

日本酒の飲み頃温度についてのお話は以上です。
実際は同じ大吟醸でも原酒だったり、生酒だったり、火入れしていたり、さまざまですし、純米酒でもすっきりとした淡麗なものから濃厚なもの、また吟造りをしたフルーティーなもの等などなかなか一まとめにお話をするのは難しく、悩みながらのお話となりました。
そして、日本酒サービス研究会の提案する「薫酒・爽酒・醇酒・熟酒の4つの分類」にすべての酒を当てはめるのはなかなか簡単にはいかないように思います。
また、それだけ個性豊かな様々な酒があるということは、すばらしいことだと感じています。

せっかくの個性豊かな日本酒ですから、楽しむ温度帯の幅を広げて、貴方の中の「おいしい!」を是非探してみて下さいませ。

日本酒と健康

健康といえば、ワインばかりが注目されていて、日本酒の健康効果はワインの健康効果程、耳にすることがありませんね。
しかしながら、日本酒にも健康に良いとされる成分が含まれていますので、その健康効果をこちらのページでご紹介したいと思います。

でも飲み過ぎは逆効果ですので、美味しい酒を毎日少しずつ!
これが基本中の基本です。

ストレスの軽減

日本酒はお酒の中でも胃に優しく、胃潰瘍を防ぐのに最適の健康酒といわれています。お酒を飲ませたラットにはストレスを与えても胃潰瘍が出来なかったという実験結果が報告されているそうですから、お酒にはストレスを和らげる効果があるといえそうです。

心臓病を予防する

日本酒は血管を詰まりにくくし、動脈硬化や脳卒中の予防に効果を発揮するといわれています。お酒を飲む事によって、体の中で血栓を溶かす働きのある「ウロキナーゼ」という物質が増えてその働きが高まるからだそうです。血栓が出来ると血液の流れが邪魔されて、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞といった病気を招いてしまいます。

血圧が安定する、精神が安定する

日本酒にはアルコール以外に700種類をこえる成分が含まれているといわれています。ビタミンB1・B2をはじめとするビタミン類や、多くのミネラルなどです。
また、神経の興奮を抑えたり、血圧を下げるのに役立つ成分であるペプチドやアミノ酸も含まれており、日本酒風呂などにすると効果的だそうです。
浴槽にぬるめのお湯をはり、日本酒を4合くらい入れ、20分くらいゆっくり入ると良いそうです。

美容に良い

近頃、米麹に含まれているこうじ酸が、細胞の老化を防ぎ活性化する作用を持つ物質として注目されています。こうじ酸は特にメラニンの生成を抑えてくれるそうなので、美白効果も期待できそうです。飲んで体の内側から、化粧水として肌の外側から美容効果を得ましょう。

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