パット・ルーは自然派シャブリの生産者です。
シャブリのシャープさと自然派の柔らかさが旨くミックスしていてバランス良く、リリース直後から楽しめるスタイルです。
以下インポーター資料より抜粋
シャブリというアペラシオンはその名声の高さと世界的需要の為に、ほとんどの生産者が品質追及を放棄し、大量生産を行う怠惰な生産地域です。
自然派という枠外であっても、秀逸なワインを造る生産者が稀の中、自然派の生産者となると壊滅的状況でした(唯一の例外は、著名なアリス エオリヴィエ ド ムール)。
そんな地域にあって、僅か2haほどの畑から、自然派ワイン造りを始めたのが、(2006年当時)24歳のトマ ピコ氏です。
彼の父もシャブリの生産者ですが、当初は栽培・醸造方法も一般的で、農薬・培養酵母などを用いてワイン造りを行っていました。
そんな環境にありながら、彼はなぜ自然派という方向性に目覚めたのでしょうか。その問いに対してピコ氏はこう語ります。
「シャブリという地域は、多くの生産者が農薬や化学物質を用いています。
ただ私は、私たちだけでなく、子供や次の世代の人のために土壌を守り、自然を守る必要があると思うのです。」
そうして、彼が目指したのが農薬や化学肥料を用いない自然な栽培、そしてそれをいかした自然派ワイン造りでした。
彼はまず、ブルゴーニュの自然派ワイン生産者、ドミニク ドゥラン氏のもとへ研修に行きます。
実は、彼の父とドミニク ドゥランは醸造学校時代の同級生でした。
その頃からビオロジックやビオディナミに傾倒していたドミニクが、彼にとっての師匠となったのです。
その経験を経てシャブリに戻り、祖父の所有していた畑を譲り受けてワイン造りを始めました。
ドメーヌ名のパット ルーは、所有している畑の通称「狼の足」から名付けられました。
栽培は、ビオロジックを主体に一部でビオディナミを採用。2007年は5月から8月にかけて雨が多く、無農薬の彼の畑は当然病害の恐れがありました。
しかし結果的に心配されていた病害は免れ、図らずも彼の畑の気候的条件や地形的条件が、ビオロジックに適したものであることがわかりました。
このような天候に恵まれない年以外は施肥を行わず、剪定の段階から収量を制限してより凝縮した味わいのブドウを得ます。
この収量制限という概念自体が、この地方ではあまりに一般的ではありません。
彼の所有する畑は、シャブリの町から南に5キロ離れた標高320mのクルジ村に位置しており、シャブリのグランクリュ(130から150m)よりも高い位置にあります。
AOCシャブリの畑は、特徴的な石灰土壌に、ピコ氏自身が「ルージュ」と呼ぶ粘土質の土壌が加わり、そのため爽快なミネラル感に加え、厚みのある果実味がバランス良く得られます。
また1級畑であるブトーやボールガール、コート ド ジュアンなどは、良好な日照と標高の高さからゆっくりとブドウが成熟し、複雑味と硬質なミネラル、長い余韻が得られます。
収穫されたブドウは醸造所の2階で空気式の圧搾機によってプレスされ、1階のステンレスタンクに重力を利用して移された後、ブドウの実に付く自然酵母で発酵させます(補糖や補酸は当然行いません)。
ヴィラージュ格のシャブリは
主にステンレスタンクで、1級畑の各ワインは木樽にて熟成を行い、熟成中にスーティラージュ(澱引き)を行い、目のかなり粗いフィルタを用いて濾過をした後に瓶詰めされます。
亜硫酸は必要に応じて少量用います。また近年は、発酵・熟成の一部にコンクリート製の卵型のタンクも一部用いています。
パット ルーのワインの最大の魅力は、シャブリというアペラシオンに求められるイメージを損なわずに、自然派ワインの柔らかい飲み心地が楽しめる所です。
石灰質土壌由来のミネラル感がしっかりとあり、そこに芳醇な果実の旨みが加わります。
全体のバランスが素晴らしく、トマ ピコ氏の誠実で実直な人柄をそのまま瓶詰めしたような安定した味わいが楽しめます。